
ライフイベント領域(求人・住まい・車・旅行など)において、40以上のライフサービスプラット
フォーム事業を展開している株式会社じげん。
2013年に東証マザーズへ上場、2018年には東証一部へ市場変更をし、これまで19件のM&Aによって、事業・組織は共に拡大。
正社員のみならず、社外パートナーも社内で数多く活躍しているという。いちベンチャー企業から、
グループ会社をいくつも持つ東証一部上場企業へと組織が大きく変化する中、どのようにして社外パートナーを活用しているのか?
今回は、同社の取締役執行役員である波多野さんにお話を伺いました。
■体制アップデートを支えたのは、プロフェッショナルな社外パートナーだった
ー 社外パートナーを採用されたきっかけはどんなものだったのでしょうか
きっかけは、経営管理部の主に財務・経理チームが抱えていた課題でした。
当時、弊社では日本基準から国際財務報告基準(IFRS)に会計基準を変更し、決算の運用体制を社内で新たに構築していたところでした。当時は組織の成長に伴い社員の入退社も少なくなく、経理チームの体制も万全といったものではありませんでした。
もちろん、IFRSについて知見のあるメンバーはいましたが、彼ら彼女らに対してアドバイスや相談相手となる、より専門的な知識と経験をお持ちの方が組織には必要でした。
そこで、正社員採用と並行して社外パートナーの採用を行ない、公認会計士の方にアドバイザーとして入っていただけることになりました。
ー 具体的にはどのような業務を依頼されたのでしょうか
主に決算を行う上での体制、メンバーへ専門知識や調べ方、会計基準の整理や解釈の仕方、決算資料のチェックなど、手を動かすというより業務全体のアドバイスをメインにお願いしていました。
IFRSの対応を含め、決算業務を中心に様々なアドバイスをしていただいたおかげで、経理チームの業務は整理され体系化していき、チームの成功体験がメンバーの自信にもなり、組織の活性化にも繋がりました。

■「Win-Win」の関係性を築くために、社外パートナーに求めることとは
ー 社外の方が入られるということに対して、
社内からの声は何かありましたか?
弊社はITのベンチャー企業ということもあり、変化が多く新しいものを積極的に取り入れていく会社です。雇用形態関係なく、自然に新しい方を受け入れる土壌がありました。
ー 社外パートナーと良い関係性を築くのに、必要なことはなんでしょうか?
これは職種を問わず言えることだと思いますが、社外の方に仕事をお願いする際、事業の状況や業務の背景など含めてご理解いただく必要があります。コンプライアンス的な意味も含めて、情報開示をどこまでするかは、業務の重さや本人の経験と比例しますよね。
どこまで、どの粒度でお伝えするのか、仕事を渡す側で整理する必要が当然出てきますし、一定の労力が必要にはなってきます。
先ほどお話しした公認会計士の方は、ご経験が豊富だったことから、少ないインプットでもご自身で必要な情報は取りに行き、自走していただくことができましたが、それは誰にでも当てはまるものではありません。
今後、関わる社外の方が増えていくことを考えたときに、そこの整理の仕方はもう少し工夫が必要だと捉えています。
ー 社外パートナーを採用する際にはどういった選考基準をお持ちでしょうか?
明確な選考基準というよりも、私たちがお願いしたい内容と、社外パートナーの方が「提供してくださる付加価値」がキーになりますね。基本的にはお互いが「Win-Win」になれる関係性が理想です。
プロフェッショナルな方であれば、ご本人のできることの選択肢が多いため、弊社で抱える課題とご本人の挑戦されたいこと、求めている働き方とマッチすれば比較的お願いしやすいと思います。
逆にこれからスキルやご経験をつけて行きたいという方であれば、たくさん手を動かすような、「コミット力」があると弊社のお願いする業務と、ご経験を積みたい志向がマッチする可能性もあります。
「提供してくださる付加価値」に対して、我々も仕事や・情報の渡し方が変わってきますので、バランスを見ながら選考させていただくことが多いです。
■社内外との連携を強める今後の取り組みとは
ー 今回お話しいただいた社外パートナーの方は、御社の成長の支えに
なったようですね。
今でこそ、組織体制も整備されてきましたが、組織が急成長していく過程を長く伴走いただけていることは、非常に恵まれていると思っています。
アウトプットを重視する働き方は今の時代に即しているとも考えますし、社員にも良い影響を与えています。通常業務だけではなく、社内で勉強会を時々開催してくださったりすることもあります。
メンバーにとって、社内の先輩や上司からの指導に加えて、新たなインプットや気づきもある良い機会になっているようです。「社内の当たり前」ではなく、「世間一般の当たり前」や「世間に通用する知識レベル」を自然と理解することができますし、良い刺激となり個人のモチベーションアップにつながっていますね。
おかげで、社内のルールで凝り固まりすぎず、しなやかに新しいことに挑戦できる風土が作れていると感じています。
ー その一方で、今後さらに取り組んでいきたい点もあると。
そうですね、主に2点あると考えています。
1つ目は先ほどお話しした「仕事の渡し方」ですね。
どうしても社外パートナーへ業務を委託するとなると「切り出しやすい仕事のみの依頼」になってしまうケースもよくあると思います。そうならないためにも、業務の分解と整理を行った上で仕事をお渡しして社内外含めて生産性を向上させることで、皆さんの働きがいにつなげていければと考えています。
一方で社員は、「社員だけにしかできない仕事」、例えば判断する仕事、様々な社内外の方たちとの関係性構築、そこから当事者意識を高くして業務を推進していくことに集中することができますし、雇用形態関係なく、モチベーション高く仕事をする環境をつくることができるのではないでしょうか。
2つ目は、「パートナーの方々のエンゲージメントも上げる」ことです。
パートナーの方も社員と同様に、いかに長い間の協力関係を築いていけるかどうかが重要になってくると思います。そのような体制を創っていくためにも、社内外関係なく魅力的な職場であることは重要だと考えています。
今後、社員であっても(フレックスや完全リモートなど)多様な働き方が増えて、社員と社外パートナーの垣根は低くなっていくと思っています。社員と同じように、本人のキャリアや、挑戦したいこと、持っているやりがいを理解した上で仕事に紐づけながら、双方「Win-Win」の関係性をつくっていけるようにしていきたいですね。

ー エンゲージメントを高めるとありましたが、すでに実践していることはありますか?
パートナーの方に対しても、社員同様しっかりフィードバックをするようにしています。特に、アドバイザーとして入っていただいている方の場合、成果物が見えにくいことや、社員と違い人事評価制度もありません。以前ご本人から、「どのアドバイスが役に立っていたか、何が原因で実行できなかったか教えて欲しい」とリクエストがあり、2年分の日報を全て見直してフィードバックを行いました。
自身がアドバイスした内容が組織に反映されていることも再認識いただけたようで、すごく喜んでいただけました。
仕事を通したコミュニケーションの積み重ねがエンゲージメントを上げていくことに繋がるのは、社員もパートナーも変わらないと思います。弊社でも、在宅ワークやフレックスの導入など、場所や働き方に囚われない土壌が整ってきていますので、今後はより一層パートナーの方がご活躍される機会は増えると考えていますね。